Normal Screen3回目のプログラムとして、ニューヨークのアート団体Visual AIDSがコミッションした7つの映像作品を紹介します。
Visual AIDSはエイズ危機真っ只中の1988年アメリカで、エイズに関する作品制作をするアーティストや作品を通し啓発活動をする人々をまとめるために形成された非営利の団体です。
日本において最も有名なVisual AIDSの活動はおそらく1991年に始まったレッドリボン・プロジェクトではないでしょうか。
彼らは、現在でも情報をまとめ、展覧会の企画や議論の場をつくっています。そしてデータベースの作成などを行い、アートを通しエイズと向き合うアーティストやHIV陽性者の中心的存在となっています。
差別や偏見も厳しいなか発足し彼らが行ってきたプログラムの1つに、1989年より続く「Day With(out) Art」があります。毎年12月1日は、エイズによって亡くなった友人や恋人をおもい、今なお続く問題と向かい合い、行動を起こす日。 その25回目を迎えた2014年、Visual AIDSは特別に7組のアーティストとコミッションし、7つの映像作品をのべ50以上の全米各地の美術館や団体で上映しました。
「ALTERNATE ENDINGS」(別の複数の結末)と題された本プログラム。アーティストそれぞれの私的な記憶や問題提起が見える作品を字幕付きで紹介します。ぜひフルスクリーンでご覧下さい。
ALTERNATE ENDINGSに参加した7組のアーティストはそれぞれの個人的な視点と記憶をビデオというミディアムを使いHIV/エイズの歴史の様々な感情を表現しようと試みています。
作品によっては、過去の映像、学者のエッセイ、パフォーマンス、スナップショットやロボットカメラを使用しています。テーマは例えば、恋愛と別れ、それを祝福するもの、そして失った彼らのことを忘れないこと。
これらの多様な表現から私たちは複雑な過去を見つめつつ、個々の異なったストーリーと将来の可能性を描こうとしています。なぜならエイズは終わっていないからです。
【アーティスト】
トム・ケイリン 『Ashes』
リース・アーンスト 『Dear Lou Sullivan』
マイ バーバリアン 『Counterpublicity』
ジュリー・トレンティーノ/アビゲイル・ソヴェランス 『evidence』
ハイ タイガー 『The Village』
ライル・アシュトン・ハリス 『Selections from the Ektachrome Archive』
グレン・フォーゲル 『7 Years Later』