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美麗少年

2020年9月30日
9:15 PM
渋谷 シアター・イメージフォーラム
イメージフォーラム・フェスティバル2020「スクリーニング・コレクティブ新世代」)

上映後のトークが緊急決定!
ミッキー・チェン監督と1999年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で親交のあった秋山珠子さん(神奈川大学 中国語学科教員・字幕翻訳者)と若井真木子さん(YIDFFアジア千波万波コーディネータ)をお呼びし、彼との思い出を語ってもらいます。

2018年末に51歳で逝去したミッキー・チェン監督による台湾ゲイドキュメンタリーのクラシック。

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1998年の台北で、ゲイの少年たちのリアルを鮮やかにとらえたドキュメンタリー作品。留学を機に恋人と別れる決心をした小羽、家族の協力を得ながら女装パフォーマンスをする小丙、名門男子校にいながら自らを女子高生と名乗るモーガン。チャーミングな彼らの青春と、ヘイト発言をしていても憎めない周りの友人や家族らにチェン監督の手持ちカメラが接近し、まっすぐと見つめる。

本作は台湾では劇場公開され興行的にも成功をおさめた。日本では、山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映。監督は後に審査員として2011年に同映画祭に参加し、2019年には追悼上映が行われた。


ミッキー・チェン監督のことば
台湾でクイアー・ドキュメンタリストとして、僕は生き残る道を見つけるべく頑張っている。補助金をもらったり、ゲイやレズビアンの部分を表し、カミングアウトしようと人を説得したり…。けっこう苦労するので、活動しているうちに僕は極端なほどの独立心を持ってしまう。だからこの作品は僕にとってクイアーな若者の無垢に戻る、大きな救いとなった。燃えてるあの少年たちから多くを学び、ドキュメンタリーという、僕を近頃力づけてくれるジャンルについて、もっと知ることができた。

15年前、僕のような台北に住むクイアーの高校生に声はなく、手本になるような大人のゲイやレズビアンもいなかった。クイアーには未来像がなかった。当時多くのクイアーの仲間が“間違った”相手、つまり愛してくれないストレートな人、を愛してしまっていた。中には若くして自殺しようとさえした人も大勢いた。年月が流れ、僕は遂に新しい世代、すばらしいクイアーの新世界を探索するべくカメラを手に取った。

この作品は、1999年に台湾で興行的に大ヒットした。クイアー・コミュニティー全体が動員され、この作品を伝説にするために惜しみない努力をした。また、最近の台湾は、持続的に台湾各地で映像ワークショップなどの活動を続けるドキュメンタリーの工作室、全景(本映画祭「アジア千波万波」スペシャルプログラムを参照)のおかげでドキュメンタリー運動が広がり、黄金時代を迎えている。そのような素晴らしい財産を携え、若い映画作家たちは更に多様で率直なドキュメンタリーを作る航海へと旅立つのだ。
(1999年、山形国際ドキュメンタリー映画祭)


陳俊志(ミッキー・チェン|Mickey Chen)
1999年に公表のプロフィール抜粋: 1967年生まれ。ゲイとなるべく生まれ、クイアー・ドキュメンタリストとなるべく学ぶ。国立台湾大学で英語とアメリカ文学を専攻するが、当時はカミングアウト前で不幸せだった。1991年兵役につき、そこでボーイフレンドと出会う。幸せな8年の共同生活の後、別れる。1996年、ニューヨーク市立大学での勉学を終え、ミア・チェンと共同製作した初のドキュメンタリー作品『本当のウェディング・バンケット』(1997|東京国際レズビアン&ゲイ映画祭1998で上映)で映画祭巡りをする。現在、独身、恋人募集・ダイエット中で、出来たてホヤホヤの新作、『美麗少年』と一緒に世界を旅している。お便りお待ちしてます。 (1999年、山形国際ドキュメンタリー映画祭)

 * * *

チェン監督は、その後、アクティヴィストとしても活動しながら、年配のゲイを見つめた『非婚という名の家』(無偶之家,往事之城|2005)や『幸福備忘錄』(2003)を制作。

2011年には、山形国際ドキュメンタリー映画祭のアジア千波万波 審査員に。<回到 一 圏日台ドキ ュメンタリーの 12年後>という特集のなかで、『美麗少年』と『台北パパ、NYママ:米国の夢』を上映。

作家として、自身が育った複雑な家庭環境を綴った「台北爸爸,紐約媽媽」(台北の父、ニューヨークの母)を2011年に発表し、ベストセラーに。この作品は、舞台化もされた。2018年12月に51歳で永眠。

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美麗少年 Boys for Beauty
台湾|1998|台湾語|カラー|63分
監督・撮影・録音・編集・ナレーター:陳俊志(ミッキー・チェン)
音楽:陳建麒(チェン・ジエンチ)

主催:イメージフォーラム
協力:認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭


入場料(消費税込):
一般1,500円/学生800円/イメージフォーラム会員1,200円
シアター・イメージフォーラムは全席指定。
http://www.imageforum-reserve.jp/imfr/schedule/indexPre.php?dsType=pre

9月10日より会期中の全ての回のチケットを、シアター・イメージフォー ラムのオンラインチケット購入サイト、またはシアター・イメージフォー ラム窓口で販売します。

本上映は、9月26日(土)〜10月4日(日)に東京で行われる、イメージフォーラム・フェスティバル2020内の企画「スクリーニング・コレクティブ新世代」の一環で行われます。

シンポジウム:スクリーニング・コレクティブ新世代-アクティビズムとしての上映活動
< 上映で繋ぐ新しい回路 >
藤本高之(イスラーム映画祭)×秋田祥(ノーマルスクリーン)×石川亮(SpiceFilms)×平塚千穂子(シネマ・チュプキ・タバタ)
日時:9月26日(土)18:00~19:30
会場:イメージフォーラム3F「寺山修司」


【 次回予告 】

台湾の現代実験映像を知る上映を1週間にわたり行います!

日時:2020年10月3日(土)~10月9日(金)連日21:00より
会場:シアター・イメージフォーラム
●プログラム1 > 台湾新実験電影 : ひしめきあう地盤の端のこどもたち(9作品/合計80分 キュレーション:ウー・ツィアン )
●プログラム2 > 迷い子のリボン : ウー・ツィアン自選集 (8作品/合計61分)

詳細は近日発表します。


・山形での追悼上映の年をまちがていたので修正(2020/9/13)
・チェン監督の逝去時の年齢を追加(2020/9/13)
・チェン監督プロフィールに追記(2020/9/27)
・上映後トーク開催決定(2020/9/27)