短編映画『親子になる』

ノーマルスクリーンではこれからウェブ上でも鑑賞できる作品を紹介していきたいと思います!注目の作家や作品を紹介したり、字幕をつけたり、テーマを立ててそれに関連する作品をこちらで公開したりしていきます。

今回は、欧米の映画祭が注目するカロリナ・マーコヴィツ監督の5作目の短編映画『親子になる』(The Orphan / O Órfão)をぜひご覧ください。2018年〜2019年に世界の映画祭で上映された作品です。主人公は、ブラジルの孤児院で生活するティーンエイジャーのジョナサス。実話をベースに構築された物語です。

 

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Carolina Markowicz | 2018 | 15 min | Color | Brazil | Portuguese

孤児院で暮らす個性豊かなジョナサス(Kauan Alavrenga)。髪を染めたり、口紅を塗ったりする彼は、受け入れてくれる里親をなかなか見つけることができない。そんななか、新たに見つかった夫婦の広い家での生活を始める。

本作品の背景として、ブラジルのトランプと呼ばれる現大統領の存在が考えられる。ブラジルの大統領ジャイール・ボルソナーロは、様々な差別的な発言を堂々とし、息子がゲイだったら「事故で死んだ方がまし」などと同性愛嫌悪も繰り返し明確にしてきた。もちろん、ブラジルでも濃厚な黒人への差別、白人とその他の人々との格差などの根深い問題も改善する兆しがない。本作は、このような政権下におけるブラジル社会の暗喩とも見ることができる。


監督、脚本のカロリナ・マーコヴィツ(Carolina Markowicz)は、ブラジルのサンパウロを拠点に活動し、コマーシャルや短編映画を制作しています。本作は、世界80ヶ所以上の映画祭で上映され、ブラジル作品初の受賞となったカンヌ映画祭のクィア・パルム賞を含む多くの賞も受賞。(主な映画祭&受賞:カンヌ国際映画祭2018 監督週間 短編映画部門、クィア・パルム賞|SXSW映画祭2019、審査員特別賞|ロカルノ国際映画祭2018|トロント国際映画祭2018、ショートカット賞|AFI(アメリカ映画協会)映画祭2019、フレームライン映画祭2019)。また日本では、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2019 (SSFF & ASIA 2019)で上映されました。(日本語題『親子になる』はその時のもの)

マーコヴィツは現在、2本の長編作品を準備中。すでに、ロカルノ、トロント、トライベッカなどの映画祭の助成プログラムに選ばれ、支援と注目を受けながら制作が進んでいます。その作品の1つ『WHEN MY LIFE WAS MY LIFE』は、サンパウロ郊外のある家庭で身をひそめるマフィアのメンバーを主人公にしたダークコメディ。もう1本『TOLL』は、ゲイの息子をコンバージョンセラピー(同性愛の“矯正治療”)におくる親を中心にしたダークユーモアのある社会派ドラマになるそうです。

ノーマルスクリーンは日本語字幕制作に関わっていません。
画像提供/ Photos: FiGa Films|Carolina Markowicz

Screenplay Carolina Markowicz
Cinematography Pepe Mendes
Sound AudioInk
Production design Vicente Saldanha
Editing Lautaro Colace
Music AudioInk

参考:
TRIBECA FILM INSTITUTE https://www.tfiny.org/filmmakers/detail/carolina_markowicz
Variety https://variety.com/2020/film/global/luxbox-takes-toll-first-feature-the-orphan-carolina-markowicz-1234626057/
AFPBB News https://www.afpbb.com/articles/-/3167638?pid=19940795

 
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