もっとオープンマインドになるために。バンコクのウェブ/コミュニティ、クィアマンゴー!
/主にレズビアンやバイ、トランスの女性やクィアをターゲットにした『Queer Mango』というキャッチーな名前の情報サイトがバンコクには存在する。ちょうど私がバンコクを訪れたときに1周年を迎えたQueer Mangoはオープンマイクのイベントを開催していた。その名はワン ナイト スタンドならぬ「ワン マイク スタンド」。
場所は先日のバンコクアートスペースでも紹介したバー&ギャラリーJAM。タイ語と英語両方の言語で進行するイベントに訪れた人々の肌の色は様々。
いわゆるアマチュアナイトで、2時間以上にわたり、詩の朗読や音楽のパフォーマンスが行われた。気がつけばバーに入りきれないほどの人で大盛り上がり!メッセージ性の強い作品から笑えるものまで参加者個人のバンコクまたはタイでの経験を見聞きする貴重な機会となった。
バンコクには、ゲイ男性向けの情報サイトやイベント/スペースは多いが、ゲイ女性向けのものが極端に少ない。そこで2015年に イタリア出身のイラリアとバンコク出身のナディーンがQueer Mangoを開始した。「クィアの女性による情報サイトが選んだイベントを紹介することで、LGBTフレンドリーかどうかが分かり、そこに行くかどうかとかで悩む必要がなくなるでしょ。」イベント終了後にナディーンが語ってくれた。
「タイのLGBTの生活は徐々に良い方向には向かっているかもしれない。でもタイの政府は民主主義によって構成されていない。だから、パートナーシップ条例が出たとしても、同時に表現の自由が保障されていなければ、それが何を意味するのか、将来も見据えて考えなければいけない。裕福で恵まれていれば、それでも弁護士を雇ってすべてスムーズに物事がすすむかもしれないけど、貧しい人にはそんな余裕はない。だから法によって守られる権利がある。皆がそういうことに関心を持つようになってほしい」
Queer Mangoは政治的なコミュニティでもある。そして政治的でありながら楽しむこともできることを教えてくれる。新しい人に会い、コミュニティもできるかもしれない。彼らはバンコクのLGBTQ団体のために写真展や映画の上映会のチャリティイベントを行ったり、出張で通訳もするそうだ。
「タイには国外の人もたくさん住んでいる。Queer Mangoは様々な人の交差する場でもありたい。包括的でもありたい。だから、queerという言葉を使いながらそういう考え方も紹介している。英語の情報も重要だと思う。タイ語が分からないタイ在住者で、この街のLGBTが抱える問題や苦悩を理解したいと考えている人もたくさんいる。」クィアコミュニティでありながら「オープンである」ということは難しい。この夜も、オープンマイクでは異性愛者の白人男性が女性を見下すジョークを軽々と口にしていた。それでも会場のマジョリティを占めた女性たちは、負のエナジーを爽やかに断ち切りムーブオン。イラリアとナディーンのパフォーマンスで幕を閉じた。
バンコク以外での活動も考えているのか聞いた。「チェンマイで『レインボーパパヤ』って団体を作ってもいいかもね!(笑)でも今はバンコクのコミュニティに集中したい。」2016年末には国際レズビアンゲイ協会世界会議(ILGA World Conference)がバンコクで行われ世界中から700を超える団体が参加する。それに向けて、Queer Mangoがどのようにウェブサイトを盛り上げイベントを催すのか。いろいろと企んでいるらしい。「私たちはパーティーメーカーではない。何かするとき、理由とともにするのよ。もっとオープンマインドになるためにね。」