HIV犯罪化について知っておくべきこと

日本語字幕付きで公開中のビデオ『知られざる結末、アクティヴィストの蜂起』で言及される
「HIV の犯罪化」についてこちらで説明します。映像はこのページの最後でも鑑賞できます。

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あなたはHIVの犯罪化を
問題に思うはずだ

(ただその事について
 まだ知らないだけ)*

このポスター(タブロイド)は、Visual AIDSがエイヴラム・フィンケルスタイン(Avram Finkelstein)にコミッションしたもの。裏には下記の情報が記載されている。ニューヨークプライドマーチ2018で配布された。

* Courtesy of HIV Is Not a Crime Flash Collective

 

HIV犯罪化について知っておくべきこと
・米国では、1986年に初めて明確にHIVに特化した法律ができてから、HIVに関する公訴が1500件以上あった。

・現在、34の州でHIVに関する刑法に効力がある。

・これらの法の多くは、HIV陽性を相手に明かさないことを有罪とし、HIVと生きる人々は同意のもとの性的行為でも相手にHIVのステータスを告げなければ、起訴され投獄されるリスクをはらんでいる。これらの訴追/起訴は、コンドームの使用、ウイルス量、または現実的な伝染の可能性の有無は考慮されない。

・他の法律では、被告人がHIV陽性の場合、セックスワークに関連する軽罪が重罪へと強まることもある。たとえそれが性的行為の証拠がなかったり、勧誘された場合でもだ。

・HIVに関するこれらの法の多くはエイズ流行の初期に施行されたもので、HIVの感染を防ぐコンドームの有効性や抗レトロウィルス剤、PrEPなど現在の科学的知見を無視している。

・25の州はHIV感染リスクの低い、または無視してよいほどの行動 ーー 噛む、唾を吐くなどーー を有罪としている。唾では感染しない。

・HIVに特化した法律のない州でも、HIVと生きる人々が加重暴行や殺人未遂やバイオテロの罪として起訴されている。

HIV犯罪化を分解する
米国医師会、米国心理学会、全米刑事弁護士会、その他多くのエイズ関連団体はHIV犯罪化に反対の声明をだしている。

連邦政府でさえ、2013年にHIVの犯罪化に反対の姿勢を示した。HIV/AIDSに関する大統領諮問委員会はHIV関連の法の現代化を推薦。司法省は2014年に法改革のためのガイドラインまで提出した。2017年、トランプは諮問委員会のメンバー全員を解雇した。

HIV犯罪化の終結は、HIV関連の法が州ごとに異なることから複雑化している。つまり法の現代化はひとつずつ別々に地方議員とアクティヴィストが協働して行わなければならない。

ミズーリHIV司法連合は、州のHIVに特化した 2つの法を現代化する改正案を提出することに成功。一方、ルイジアナ州の議員らは、現在の法を拡大し、警官に体液を暴露したといわれる人に州は強制でHIV検査を受けさせられるようにしようとしている。これらは、HIVに特化した法が現在も有効な34州のうちの2州での例である。

科学は事実に基づいている。法は先例に基づいている。多くの州では、判例はいまだに1980年代のものに基づき、HIVと生きる人々へのスティグマを強めている。

 


*情報は2018年12月、アメリカ合衆国でのもの。

*右下の【CC】をクリックして日本語字幕を表示してください。
Subtitles: Sho Akita and Hibiki Mizuno

参加団体紹介などはこちら:http://normalscreen.org/events/dwa2018