燦然たる存在

CONTEXT for ALTERNATE ENDINGS

ALTERNATE ENDINGS』 と合わせての鑑賞をおすすめするビデオを紹介します。

Visual AIDSが2015年のDay With(out) Artで発表したこの作品『RADIANT PRESENCE』です。HIV/エイズをもつアーティストによる作品の莫大なデータベースArtist + Registryから、9人のアーティスト、アクティビスト、キュレーターが選んだ作品とともに、現在のHIV/エイズに関する統計や衝撃的な事実が織り込まれています。

 

これまでに3900万人がエイズ関連の病で亡くなっている。

今日 HIVとともに生きる人の数は 世界で3600万人。

HIVと生きる人のうち その41%だけが治療を受けることができている。

アメリカでは HIVの治療費は年間 36,000ドルにおよぶこともある。

HIVと生きる人の半数は50歳以上。2020年にこの数は70%に達する。

2010年、24歳以下のHIVをもつ若者の半数は、自らが陽性であることを知らなかった。

アメリカで 白人以外の女性におけるHIV感染の可能性は白人女性の20倍である。

アメリカでもっとも急速にHIV陽性者が増えている層はトランスジェンダーの女性である。

過去にHIV陽性者が、同意上のセックス、嚙みつく、唾をはいたという行為を理由に、アメリカの36州で起訴されている。

2015年、他者にHIVの「罪なる暴露をした」と23歳のマイケル・ジョンソンに懲役30年が科された。

HIVを罪にすることはリスクや被害のはなしではない。スティグマの問題だ。

エイズは終わらせられる

RADIANT PRESENCEは2015年12月1日にウェブ上で公開され、その3日後にニューヨークを中心に数ヶ所で投影されました。本作は1990年に制作されたスライドショー『Electric Blanket』にインスパイアされており、Electric Blanketも当時、ニューヨークのクーパー・ユニオン(大学)で投影されたことに由来しています。ナン・ゴールディンやピーター・ヒュージャー、アレン・フレームなどの写真200点とエイズに関するテキスト、データ、スローガンから構成され、日本でも1994年に行われたエイズ国際会議に合わせて横浜で投影されたそうです。

マイアミやサンフランシスコのカストロ・シアターに加えて、下のビデオでは2015年にRADIANT PRESENCEがニューヨークで投影されたときの様子が記録されています。グッゲンハイム美術館、メトロポリタン美術館、そして、東海岸で最もエイズ患者が入院していたセント・ビンセント病院(現在は外壁を一部残しつつ同地に高級マンションが建設中)の外壁に様々な真実が眩しく映されています。