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"LIFE WITH VIRUS": Teiji Furuhashi in New York




【LIFE WITH VIRUS": Teiji Furuhashi in New York】トーク映像に日英字幕をつけました。
出演:ブブ・ド・ラ・マドレーヌ|山中透|バーバラ・ロンドン
ホスト:秋田祥|カイル・クロフト
*字幕を表示:画面右下の[CC]をクリックして言語を選択してください。
日本語と英語の字幕は、全ての発言についています。(日本語字幕を表示させると 日本語を話している箇所にも日本語字幕が表示されます。英語も同様)

Teiji Furuhashi's New "LIFE WITH VIRUS": Celebrating My Announcement of HIV Infection
https://visualaids.org/blog/furuhashi-letter
古橋悌二さんが、1992年に友人たちに送った手紙を、悌二さんと親交のあった、村上春樹さんの翻訳などで知られるアルフレッド・バーンバウムさんに英語に翻訳してもらいました。この翻訳公開のために他に、水野響さん、ブブ・ド・ラ・マドレーヌさん、高谷桜子さん、ダムタイプオフィスに協力いただき、国際交流基金ニューヨークからは助成をいただきました。あらためて感謝いたします。
*日本語版(原文)は、本『メモランダム 古橋悌二』 (リトルモア) に掲載されています。


ノーマルスクリーンは、ニューヨークのアート非営利団体Visual AIDSとともにアーティストの古橋悌二さんが、生前、好んで時折訪れたり滞在していたニューヨークでの時間にフォーカスしたイベントをオンラインで行います。

"LIFE WITH VIRUS": Teiji Furuhashi in New York

ダムタイプ『 S/N 』記録映像 世界初配信(4月26日〜5月9日)
古橋悌二さんの友人たちとトークをライブ配信(日本時間5月1日 9AM - 11AM)
 ゲスト:ブブ・ド・ラ・マドレーヌさん|山中透さん|バーバラ・ロンドンさん

Photo: Shiro Takatani

Photo: Shiro Takatani

< 参加方法 >
https://www.eventbrite.com/e/life-with-virus-teiji-furuhashi-in-new-york-tickets-148996569751
上のリンク先の緑色の[Register]ボタンをクリックし、Eメールを登録すると、特設サイトへのURLが届きます。
5月1日の配信イベントのURLは、あらためて後日Eメールでお送りします。


Visual AIDS and Normal Screen present
Dumb Type’s S/N Online Screening + Zoon event
April 26 - May 9, 2021
Read and Register: https://visualaids.org/events/detail/life-with-virus

主催:Visual AIDS
共催:Normal Screen
協力:Dumb Type、調査に協力してくださった皆さん
助成:Japan Foundation, New York


本イベントでは、京都出身のアーティストでダムタイプの創設メンバーのひとりである古橋悌二さん(1960–1995)の語られることの少なかった、彼の愛したニューヨークでの時間にフォーカスをおいて振り返ります。

ダムタイプは、2018年にフランスのポンピドゥー・センター・メッス分館で長谷川祐子さんのキュレーションにより個展をおこない、結成35周年を迎えた2019年には、東京都現代美術館で大規模な展示を行いました。ダムタイプの作品及び資料の一部、また、90年代に京都で起こったアートを軸としたアクティヴィズムは、ここ数年、京都市立芸術大学の芸術資源研究センターでも研究と保存が行われています。そうしたアートイベントや学術研究により、今まで以上に、ダムタイプというアーティストグループとその周辺の人々の運動や場づくりやパーティーといった活動が相互的にコンセプチュアルアートに与えた影響も伺えるようになりました。

"LIFE WITH VIRUS": Teiji Furuhashi in New York では、それらの情報を基盤に、ニューヨークという具体的な時間と場所が古橋悌二さんの活動に与えた影響について考えます。1992年、古橋さんは友人たちへ宛てて書いた、「古橋悌二の新しい人生 ー LIFE WITH VIRUS HIV感染発表を祝って」と題された手紙で、自身がHIVに感染していたことを告げています。手紙の冒頭で、古橋さんはHIV陽性であることは「数年前からわかっていた」としていますが、その検査がいつだったのか、そのときどのようにその事実と向き合ったのかなど詳しいことは記されていません。

当時、HIVに感染していることを実名で公表した日本人ゲイ男性は平田豊さんだけだったそうです。*

80年代中頃から古橋さんが作品の上演でも訪れていたニューヨークは、当時、既に、ストリートカルチャーやクィアカルチャーが盛んでした。HIVに関しても、日本よりも情報が多かったはずです。伝統的な文化を重んじる地元の京都を離れて過ごしたその異国の地で、古橋さんはどのような知識と刺激を受け取り、何を思っていたのか。アクティヴィストとしてどのような活動をし、どのような影響を日本にもたらしたのか。今回のイベントでは、当時のことを知るご友人に参加していただき、それぞれの視点で古橋さんが滞在したニューヨークでの時間に対する思いや情報を共有していただきます。そして現代アートのコンテクストでは語ることのできないものも含め、多角的に当時を振り返り、想像し、現在と今後に活かすことを試みます。

*平田豊さんは1992年に公表しHIV陽性であることを公表。翌年に、エッセイ/和歌/写真からなる「あと少し生きてみたい ぼくのエイズ宣言」(集英社)を発表。


< ダムタイプ >

1984年に京都市立芸術大学の演劇サークルから派生し、活動をはじめた集団。ダンス、演劇、映像、サウンドアート、建築、出版、メディアアートなどを複合的に応用し、インスタレーションや舞台作品を多くてがけた。大学キャンパス内でのパフォーマンスなどを経て、1988年に発表した「PLEASURE LIFE」ではニューヨークやロンドンなど海外公演も開始し、国際的に注目される。

その後は、「S/N」「pH」(1991|WOWOWで放送もされた)や「OR」などを発表し世界ツアーを行い、2020年には、新作「2020」を18年ぶりに発表。(公演は中止になり、上映と配信が行われた|現在、国際交流基金によりオンライン配信が行われています:https://youtu.be/tyDy2tBqjJg

Photo: Yoko Takatani

Photo: Yoko Takatani

< S/N >

今回、記録映像を世界初配信する「S/N」は、1992年に自身も創設メンバーであった古橋さんがダムタイプのメンバーや友人らにセクシュアリティとHIV陽性であることを手紙で初めて伝え、そこから始まった作品。翌年には、京都市の無門館と藤沢市湘南台文化センターで「S/Nの為のセミナー・ショー」をおこなった。出演者のブブ・ド・ラ・マドレーヌの言葉を借りると、ダムタイプのメンバーはそれを通して「HIV/AIDSとセクシュアリティの基礎を、そして社会的な意味を学んで行った」。

「S/Nの為のセミナー・ショー」について、古橋は「エイズに関する非常にローカルな啓発活動を、このセミナーショーでやりたかっただけかもしれない。」と書いている。(へるめす43号、1993年5月|本「メモランダム」にも掲載)

1994年に初演がオーストラリアのアデレードで行われた「S/N」は、AIDSやセクシュアリティについてだけではなく、人種、国境などをとりまく問題もふくまれた内容で、古橋の死後の1996年まで上演され、その数は世界15カ国20都市70回以上にわたった。

上映はこれまでに、作品の音楽を担った山中透による音のオペレーションつき(国際基督教大学(2017)など)やファミニズムと女性の視点から議論するもの(同志社大学(2015, 2016))、大学での授業や映画館での公開などがある。

「S/N」の記録映像は、このようにこれまでに限られた場でのみ上映され、またダムタイプの他作品のようにソフト化されていない。

プロジェクトメンバー:石橋健次郎、鍵田いずみ、小山田徹、ピーター・ゴライトリー、砂山典子、高谷史郎、高谷桜子、高嶺格、田中真由美、泊博雅、上芝智裕、中川典俊、アルフレッド・バーンバウム、藤本隆行、古橋悌二、薮内美佐子、山中透

*1990年代中頃まで、HIV/AIDSをとりまく状況は現在とは大きく異なるものでした。AIDS(後天性免疫不全症候群)は、HIVに感染しその状況を放置していると発症します。現在は、そのウィルスを早期発見し適切な治療をすれば、ウィルスが検出されなくなるまで抑えられます。(つまり治療をうけていればセックスをしても感染しません)
参照:HIV/AIDS最新情報を7つのキーワドでわかりやすく解説する UPDATE! いくつ知っている?




< パネリスト プロフィール >

ブブ ・ド ・ラ ・マドレーヌ|BuBu de la Madeleine
1961年、大阪生まれ。1986年から1991年まで高校美術教師として働く。1991年、現代美術アーティスト及びドラァグクイーンとして活動を開始。1992年の古橋悌二のHIV感染のカミングアウトをきっかけに、HIV/エイズと共に生きる人々やセックスワーカー、女性、セクシュアルマイノリティ等の健康と人権に関する市民運動に携わる。1992年のAPP(AIDS Poster Project)設立及び1999年のSWASH(Sex Work and Sexual Health)設立に参加。1993年から2006年頃までセックスワーカーとして働く。1994年から1996年、パフォーマンス《S/N》(ダムタイプ)に出演、15ヶ国19都市で公演した。その後もソロまたは国内外のアーティストと共同で、絵画、映像、パフォーマンス、文章などを発表している。

山中透|Toru Yamanaka/DJ Lala
大阪府生まれ。作曲家、プロデューサー、DJ。Dumb Typeの創始メンバーの一人で、作曲とサウンドデザインをてがけた。近年のプロジェクトは、高橋匡太プロデュースの興福寺ライトアップ(2018)、ダムタイプの「2020」(2020)、オン・ケンセン x ウェイ・ハイミンの「A Thousand Stages, Yet I Have Never Quite Lived 」(2021、台湾)などがある。山中はあの月例ドラァグクイーンパーティー「Diamonds Are Forever」を京都のCLUB METROでオーガナイズしDJもしている。

バーバラ・ロンドン|Barbara London 
ニューヨーク拠点のキュレーター、ライター。1973年にニューヨーク近代美術館(MoMA)でヴィデオ・アートの展覧会およびコレクションのためのプログラムを設立し、2013年まで努めた。近年のプロジェクトは、ポッドキャストシリーズ「Barbara London Calling」、本「Video Art/The First Fifty Years」(Phaidon: 2020)、展覧会「Seeing Sound」(Independent Curators International)を発表。ロンドンは、インターネットをキュレーションで応用した最初の人物であり、Stir-fry (1994)、Internyet (1998)、dot.jp. (1999)をおこなった。
これまでに、開催した個展は、ローリー・アンダーソン、ピーター・キャンパス、古橋悌二、ゲイリー・ヒル、ジョーン・ジョナス、久保田成子、ナムジ、ュン・パイク、ソン・ドン、スタイナ・ヴァスルカ、ビル・ヴィオラ、ジャン・ペイリーといった型破りのアーティストなど。MoMAでの展覧会は「A Contemporary Score」(2013)、「Looking at Music」(2009)、「Video Spaces」(1995)、「Music Video: the Industry and Its Fringes」(1985)、「Video from Tokyo to Fukui and Kyoto 」(1979)など。彼女の執筆物は多くの図録や出版物、たとえば、ArtForum、Flash Art、Yishu、Leonardo、Art Asia Pacific、Art in America、Millennium、Modern Painter、the Guardianに掲載された。


< Visual AIDS >

ヴィジュアル・エイズ。1988年より、アートを通しエイズについて会話を起こし、HIV+のアーティストの支援、そして過去の功績を保存するニューヨークの非営利団体。彼らの活動(出版、展示、シンポジウムなど)は途切れることなく続いている。古橋さんと京都を中心に活動していたエイズ・ポスター・プロジェクト(APP)は、1990年にVisual AIDSとアーティストが制作した野外スライドショーのプロジェクト『Electric Blanket』を日本でも企画するなど交流がある。『Electric Blanket』は、1994年に横浜で行われたエイズ国際会議にあわせておこなれた野外イベント「Love Ball」で投影された。

Visual AIDSは、[Artist+ Registry]というAIDSで亡くなったアーティストとHIVと生きるアーティストのデータベースがあり、今回、古橋悌二さんのページが追加された:https://visualaids.org/artists/teiji-furuhashi

詳しくはこちら:http://normalscreen.org/blog/visualaidstowa

< 関連する情報/ウェブサイト/本 >

・「MAMリサーチ006:クロニクル京都1990s―ダイアモンズ・アー・フォーエバー,アートスケープ,そして私は誰かと踊る」(森美術館|企画:椿 玲子、石谷治寛)https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamresearch006/index.html

・「MAMリサーチ006:クロニクル京都1990s―ダイアモンズ・アー・フォーエバー,アートスケープ,そして私は誰かと踊る」の報告(京都市立芸術大学芸術資源研究センター)http://www.kcua.ac.jp/arc/2019/01/20/#more-3702

・「ヒューマンライツ&リブ博物館-アートスケープ資料が語るハストリーズ」展(京都精華大学) https://www.kyoto-seika.ac.jp/fleur/past/2019/0614mhrl/index.php

・トーク・イヴェント|浅田彰×高谷史郎×ブブ・ド・ラ・マドレーヌ×高嶺格(NTT ICC/HIVE|2008年)
https://hive.ntticc.or.jp/contents/artist_talk/20080915

・ブブ・ド・ラ・マドレーヌ インタビュー(神戸DanceBox|2017年)https://db-dancebox.org/blog/20171111/1574/

・山中透インタビュー(下北沢通信|2009年?) https://simokitazawa.hatenadiary.com/entry/00001205/p1

・ 山中透「036-Pleasure Life」上映後トーク(國崎晋|Rittor Base|2019年)https://rittorbase.jp/event/24/

・全国HIV/エイズ・性感染症 検査・相談窓口情報サイト https://www.hivkensa.com/

・community center dista https://www.dista.osaka/

・レビュー「ラインを飛び越えろ――古橋悌二《LOVERS—永遠の恋人たち―》によせて」(石谷治寛|Real Kyoto|2016年)http://realkyoto.jp/review/lovers/

・シモーヌ深雪インタビュー(花形文化通信|2020年)https://hanabun.press/2020/07/17/simone01/

・古橋悌二インタビュー「新しい人間関係の海へ、勇気をもってダイブする」(平林 享子|1994年)https://cloverbooks.hatenablog.com/entry/2015/05/30/190659

・トーク 表現と「わたし」の身体 —dumb type《S/N》のパフォーマー、THE OK GIRLSとブブ・ド・ラ・マドレーヌが語る(ART WEEK TOKYO|2022年10月)https://www.artweektokyo.com/talks/2022vol2/

・メモランダム 古橋悌二( 企画:ダムタイプ
|リトル・モア|2000年)

・セックスワーク・スタディーズ当事者視点で考える性と労働(SWASH編|日本評論社|2018年)

・「クロニクル京都1990s―ダイアモンズ・アー・フォーエバー、アートスケープ、そして私は誰かと踊る」記録集(MAMリサーチ006|森美術館|2019年)

・DUMB TYPE 1094 2019 (河出書房新書|2019年) 

・生きられる「アート」 パフォーマンス・アート《S/N》とアイデンティティ(竹田恵子|ナカニシヤ出版|2020年)

*アクセスしやすい資料を中心に掲載しています。



テキスト編集協力:BuBu de la Madeleine | Atiqa Kawakami

・4/25/2021 本ページ公開。
・4/28/2021 本文を一部加筆修正。
・4/30/2021 山中透さんのプロフィール内の誤字を修正。
・5/2/2021  関連ウェブサイトや本の紹介を追加。
・12/31/2021 オンライントークの記録映像を追加。 
・3/14/2022 カミングアウトレター英訳版へのリンクを追記。
・10/31/2022 関連する情報に1件追加。

サムネイル写真:Tony Fong

Earlier Event: March 27
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