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STILL BEGINNING

ニューヨークのアート団体Visual AIDS による30回目となるDay With(out) Art プロジェクト
現在も続くHIV/AIDS危機をみつめる映像7作品、日本初上映。

ノーマルスクリーンは特定非営利活動法人 ぷれいす東京とニューヨークのアート団体Visual AIDS と共同し、30回目となるDay With(out) Artの企画『STILL BEGINNING』を上映します。現在も続くHIV/AIDS蔓延に関する新作ビデオ作品7本をコミッションしたプロジェクトで、以下の8名の作家が参加しています。

シャンティ・アヴィルガン|グエン・タン・ホアン|カール・ジョージ|ヴィヴァ・ルイズ|イマン・シャーヴィントン|ジャック・ウォーターズ/ヴィクター・F.M. トレス|デリック・ウッズ=モロウ

この7本の短編映像では、ニューオーリンズの反スティグマ運動からシカゴの野外セックスカルチャー、エイズアクティヴィズムのパイオニアや世代を超えた交流の場作りの様子が取り上げられています。我々が忘れてしまわないようにアーティストのグレッグ・ボールドヴィッツがリマインドする “THE AIDS CRISIS IS STILL BEGINNING,”* (エイズ危機はまだ始まりだ/まだ起こっている)を念頭に置き、作品は解答や結論の語りを拒否しています。そして、現在も引き続き緊急性を要するHIV/AIDSを意識しつつ、過去30年から現在にも繋がる文化的歴史も再訪します。
*このフレーズは、ボールドヴィッツのインスタレーションDrive (2002)に登場する。バナーの形をしたこの作品は近頃シカゴ・アート・インスティテュートで展示された。

本編公開中!

・右下【CC】クリックで日本語字幕を表示。日本語字幕:秋田祥&水野響
・字幕注:SW=セックスワーク
・6本目の作品 (eye, virus) で画面下に流れる文字 全文翻訳はこのページ最下部に掲載。

用語
*ハームリダクションとは、向精神物質の使用に伴う健康、社会、経済被害を減らすため の政策、プログラム、アプローチの包括的パッケージを指す。このパッケージの要素は以下の通りである:注射針・注射器プログラム;オピオイド代替治療;HIV 検査とカウン セリング;注射薬物使用者への HIV ケアと抗レトロウイルス治療;性感染の予防;アウト リーチ(注射薬物使用者とその性パートナーへの情報提供、教育、コミュニケーショ ン);ウイルス性肝炎の診断、治療、ワクチン接種(可能なら);結核予防、診断、治療。 たとえば、注射薬物使用者は、消毒していない注射器具を使えば、血液感染症(HIV な ど)に感染しやすくなる。したがって適切なかたちで消毒した注射針や注射器を供給す ることは血液感染のリスクを減らすハームリダクションの手段になる。(UNAIDS 用語ガイドラインより)
*ハームリダクションは、ドラッグを使用する人々の権利の尊重と信念のうえに成り立つ社会的正義の ためのムーブメントでもある。(Harm Reduction Coalition - https://harmreduction.org/about-us/principles-of-harm-reduction/ より)

*ヘルスケアは予防や治療、苦痛の緩和といったサービスおよび個人、集団に提供されるインターベンションが含まれる。(UNAIDS 用語ガイドラインより)

*曝露前感染予防(PrEP)は HIVに曝露する前(または曝露の可能性がある前)に抗レトロウイルス薬を投与することである。 いくつかの研究により適切な抗レトロウイルス薬を毎日、経口服用することで男性も女 性も性行為や注射による HIV 感染のリスクを減らす効果があることが示されている。(UNAIDS 用語ガイドラインより)

*スティグマの語源はギリシャ語でマークまたは、しみを意味する言葉で、いまはそれが 思い込みや態度の意味で使われている。スティグマは個人の信用を著しく損なう動的 なプロセスとして説明できる。たとえば、ある文化、状況の中で、特定の性質を不名誉 または無価値なものとする口実などである。スティグマの結果が差別につながる。 差別は人に影響を及ぼすすべての恣意的な区別、排除、制限を指す。通常は(それだ けではないが)個人的特徴や特定の集団のメンバーと見なされて起きることが多い。こ れは人権の侵害である。HIVに関しては、感染原因に関わりなくHIV 陽性と確認された 人、想定される人に対し差別が起こりうる。スティグマ化と差別という用語は普通のス ピーチや論文に使われ、複数で扱われることもある。(UNAIDS 用語ガイドラインより)

  作品&作家紹介:

Derrick Woods-Morrow Much handled things are always soft

▶︎ 写真家で長期サバイバーであるパトリック・マコイ(Patric McCoy)との会話を通し、1960年代から1980年代のシカゴ黒人コミュニティにおける野外セックスの歴史を振り返る。 インターネットとジェントリフィケーション以前、アメリカではクルージング(cruising/ハッテン)はもっと行われていた。シカゴの街から開放され、セックス/友情/繋がりを公の場に求めていたのだ。映像に登場する写真を提供したマコイは、公園がいかにレーベルやアイデンティティを問われず、それらを超えた欲望をもちよる男たちの場として機能していたかを語っている。 ウッズ=モロウと黒人クィア男性たちは、クルージングカルチャーとHIV/AIDSの影響を受けて失われた世代へのメモリアルを建てる。 ▶︎ ・現在のクルージングやハッテンとはどういうものか。 ・マコイが言う、不可視についてどう考えるべきか。可視化を求めることができるのは特権か。

デリック・ウッズ=モロウ:彼の作品は、瞑想であり逸脱であり分裂である。現在はシカゴを拠点に転写技術やデジタルビデオコラージュ、陶芸、ストーリーのあるパフォーマンスなど幅広いメディアをもちい芸術活動に挑んでいる。表象について探求をかさね、歴史的で重要な場所やトラウマにある物を救出したり移し替えたり取り除いたりすることで、労働と遊びの相互関係を積極的に追求しながら、その物の異なる目的を想像しなおし、既存の利用目的を否定する。2016年にシカゴ美術館附属美術大学で写真を専攻しMFAを所得。2018年にはArtadia Awardを受賞。最近はイリノイ大学シカゴ校で非常勤講師とティーチング・アーティストとして写真を教えた。ポール・ムパギ・セプヤとコラボレーションした作品はホイットニー・ビエンナーレ2019に選ばれた。新作展示はDarryl Terrellによるキュレーションの個展で、YNCI V: Detroit Art Week Expo内で行った。


Shanti Avirgan
Beat Goes On

▶︎ アーカイブ・ビデオのみで立ち上がるキース・カイラー(Keith Cylar/ 1958–2004)の肖像。彼はハウジングワークス(Housing Works) の共同設立者でアクトアップ (AIDS Coalition To Unleash Power NY/ACT UP) の中心人物であった。 直接行動の立案からHIVをもつホームレスや収入の低い人々のためのハウジングも準備したハウジングワークスの創設者たち(他にチャールズ・キング、エリック・ソイヤー、ヴァージニア・シューベルト)は、ハウジングはヘルスケアだと理解していた(安定して眠ることのできる住居は健康を維持するのに不可欠という考え)。現在でも多くのハウジングサービスは「薬物禁止ポリシー」があるが、ハウジングワークスはハームリダクションのアプローチをとる。今日、ハウジングワークスはニューヨークの中でも大きなエイズ関連NPOの1つであり、世界に影響を与えている。映像に登場する建物はKeith D. Cylar Houseとして知られている。▶︎ ・ハウジングワークスの歴史とアーカイブ: http://housingworkshistory.com ・ハウジングはヘルスケアだと信じる他の団体VOCAL-NYについてのビデオも、ノーマルスクリーンのウェブで公開中:http://normalscreen.org/events/dwa2018

シャンティ・アヴィルガン:これまでにエイズ危機に関連する映画『Pills Profits Protest』(2004)、『Sex in an Epidemic』(2009)、 『Larry Kramer in Love & Anger』(2015)、『5B』(2019)などでドキュメンタリープロデューサー、アーカイブリサーチャーを務め、現在は写真家ピーター・フージャー(Peter Hujar)についてのドキュメンタリーにも参加している。プロデューサーとして、ナショナルジオグラフィックによる気候変動につてのTVシリーズ『危険な時代に生きる』(2014)や映画『ぼくと魔法の言葉たち』(2016)、そして現在はジーン・カロルムストの新作映画『Esther Newton Made Me Gay』(2020)に携わり、ネットフリックスのコメディシリーズやHBO局の番組プロジェクトではアーカイブ・プロデューサーを務めている。シャンティは、テキサス大学オースティン校とニューヨーク大学でラテンアメリカ・スタディーズ、医療人類学、ドキュメンタリー映画制作を専攻し卒業。フルブライト奨学金で、ブラジルのバイーア連邦大学にも留学経験がある。タンザニアとコスタリカで育ち、1999年よりブルックリン拠点。

Carl George The Lie

▶︎ “滅びた国家に沈思黙考”することで戦争、貧困、エイズ、資本主義の関連性をあらわにする。そして、これらを繋ぐしぶとい神話を拒絶する。 一生懸命働けば良い生活がおくれる、というアメリカンドリーム崩壊を軸にした詩に、エイズアクティヴィズム、リーマンショック、国内で何度も起こる白人によるテロ、国境で起きている人災、イラク戦争に関するライス元国務長官、正義を問うアレクサンドリア・オカシオ=コルテスなどがコラージュされる。飢餓する子供などの衝撃的なイメージも合わせ、米国における資本主義と不平等が慢性化していることを見るものにあらためて気づかせる。▶︎ ・冒頭で名前のあがるジョージの亡くなった友人:Ross Laycock, Felix Gonzalez-Torres, Gordon Kurtti, Brian Taylor, Richard, Hofmann, Valerie Caris Blitz, Juan Mendez, Hugh Steersロス・レイコック、フェリックス・ゴンザレス=トレス、ゴードン・カーッティ、ブライアン・テイラー、リチャード・ホフマン、ヴァレリー・カリス・ブリッツ、フアン・メンデス、ヒュー・スティア

カール・ジョージ:実験映画、絵画、コラージュを制作するアーティスト/アクティヴィスト。彼の短編映画は世界中の映画祭で上映され、MoMA、グッゲンハイム美術館、ニューヨーク公共図書館のパーマネントコレクションに収蔵されている。1989年の映画『DHPG Mon Amour』はエイズと生きる人々が自分たちで起こしたヘルスケアや急進をドキュメントし、映像を使ったエイズアクティヴィズムの金字塔となり、アカデミー賞にノミネートされた『How to Survive a Plague』(2012)でも映像は使用された。彼のビジュアルアート作品はVisual AIDSのウェブにあるアーティスト・レジストリーでも鑑賞できる:https://visualaids.org/artists/carl-george

Viva Ruiz Chloe Dzubilo: There is a Transolution

▶︎ マンハッタンのローワーイースト地区の伝説、トランスジェンダーのエイズアクティヴィストでアーティスト、そして友人としても慕われていたクロエ・ズバイロ(Chloe Dzubilo/1960-2011)が、当時のパートナーのケリー・マクゴワンが撮影した未公開Hi-8映像を通し話しはじめる。そこには彼女が、昼間はユースの支援をし、夜はCBGBsで歌っている姿が。一緒に活動したエイズ関連活動従事者のアーリーン・ホフマン(Arlene Hoffman/ 1967-2006)と、ヘルスケア関係者を教育するためのビデオ制作のために、トランス女性やセックスワーカーにインタビューも行なった。ズバイロとは友人であった本作の監督であるルイズは、彼女のアート活動やアクティヴィズムから強い影響をうけている。 ズバイロが亡くなった時、彼女の夫のティー・デ・ロング(T De Long)が「クロエだったら、その死を“pharmacide”(製薬の+殺しを意味する造語)とよんで作品タイトルにしただろう」と言うように、長期におよんだHIV治療における投薬や適さない鎮痛剤の処方、鬱、毎日薬を飲むことが心の健康におよぼす影響(pill fatigue)、薬物相互作用、トランスフォビックな医師など複数の要因が絡み死因になったと考えられている。▶︎ ・ズバイロの作品はVisual AIDSウェブサイトで閲覧できる:https://visualaids.org/artists/chloe-dzubilo

ヴィヴァ・ルイズ:エクアドル移民の娘としてニューヨーク市で生まれ育ったコミュニティ&(夜の街で教育をうけた)アドヴォケートでアーティスト。素材/媒体をこえて彼女の作品で一貫するのは、白人至上主義の解体や植民地化とそれによる洗脳をとくことへの情熱。2017年には、ニューミュージアムの「Scamming the Patriarchy」(家父長制を奪いとれ)というユース・サミットに招かれ性教育と実用的なスピリチュアルワークショップを行った。2019年には、Participant Inc.(NY)で個展「ProAbortion Shakira: A Thank God For Abortion Introspective」(中絶賛成シャキーラ:内省的中絶に感謝)を開催。「THANK GOD FOR ABORTION」という題の“中絶 脱スティグマ化マルチメディア実験作品”も展示された。



Iman Shervington I'm Still Me

▶︎ HIVと生きる黒人の女性、母、アクティヴィストのシアン・グリーン。ルイジアナ州のInstitute of Women & Ethnic Studies(女性&民族学研究所)と協同し働く彼女は、南部に住む黒人女性に極端に影響しているHIVについて声をあげ、ニューオリンズで予防啓発にも力をいれている。並行して、インターネットがいかに癒しのプロセスの助けになったかが作品でも描かれるように、彼女はネット上でもHIVと生きる女性と繋がりコミュニティを形成し人々のサポートをしている。 ルイジアナ州で新規感染者の78%以上が黒人女性であることを踏まえ、研究所のHIV/性感染症担当のアンジェリタ・ブラウンは、ハウジングや恋愛関係、雇用における不安定さなどの問題を説明し、これらを解決に向けてリードするのは「世界中にいるシアン」だと語っている。▶︎ ・グリーンのブログ: https://SeasonedGracefully.com ・インターネット初期の80年代には、紙のニュースレターとあわせてキヨシ・クロミヤ(1943-2000)がすでにHIVに関する情報を公開していた。

イマン・シャーヴィントン:非営利パブリックヘルス団体 女性&民族学研究所 (Institute of Women & Ethnic Studies/IWES)のメディア&コミュニケーション部門ディレクター。イマンは脚本執筆、撮影、監督、製作、編集のスキルをつかい、IWESを通し50以上の短編映画、公共広告、ウェブシリーズ、長編ドキュメンタリー、2本の長編劇映画、受賞経歴のあるポッドキャストを制作している。2016年、彼女は Robert Wood Johnson Foundation Culture of Health Leaderに選ばれ、ニューオーリンズでヘルスに関する文化の繁栄を任せられる。後に、ニューオーリンズのThe Millennial AwardsでChangemaker賞を受賞。映画以外では、ソーシャルマーケティングやソーシャルメディア管理、グラフィックデザイン、写真、ポジティブユースデベロップメント、参加型アクションリサーチ、メディアリテラシーに詳しい。

Jack Waters/Victor F.M. Torres (eye, virus)

▶︎ ビデオとピクトグラフ(視覚記号)とニュースのように流れる文字の実験的なコラージュであえて混沌とした状況をつくり、ステータスを明かすこと/スティグマ/ハームリダクションに関する会話がいかに世代や公共の場やプライベートの場で変化するのかを探求する。 コンドーム、オピオイド危機、ナルカンというオピオイド(麻薬性鎮痛薬)をオーバードーズ/過剰摂取したときに用いる拮抗薬の話をしつつ、ウォーターズとトレスは、快楽やリスクや自身のセクシュアリティとHIVステータスについて話している。▶︎ ・画面下に流れる文字 全文翻訳はこのページ最下部に・制作にはニッキ・スイート(Nikki Sweet)が参加。 ・オピドイド危機(例:2018年、米国でオピオイドの過剰摂取による死者数は6万8557人と推定されている)とHIV/AIDSはどう関係しているのか?

ヴィクター・F.M. トレス:リオデジャネイロ生まれのインターメディア アーティスト。現在の拠点はニューヨークのブルックリン。インターメディアとデジタルアート専攻で修士号を、社会文化人類学で学士をどちらもメリーランド大学ボルチモア カウンティ校(UMBC)で所得。ニューヨーク市立大学ジョン・ジェイカレッジ・オブ・クリミナル・ジャスティスで非常勤講師を務めている。過去にはメリーランド・インスティテュート・カレッジ・オブ・アート、スティーブンソン大学、ジョージ・メイソン大学、UMBCでも教えた経験がある。著書に「Language Writes Myth Writes Reality: Or How Does the Acculturated Body Take the Role of Culture Maker?」がある。彼の彫刻作品は、情報保持と容量センサと青銅器時代の美的感覚の関係を捉え、原始主義と未来主義の間の境界線を危ういものにする。作品はMoMA、ボルチモア美術館、モンマス博物館、 MIX NYC、メリーランドアートプレイス、Grace Exhibition Space (NY)などで展示/上映されている。
ジャック・ウォーターズ:ビジュアルアーティスト、映画作家、ライター、メディアアーティスト、コレオグラファー、パフォーマー。 彼の作品はこれまでに、MoMA、ニューミュージアム、The Film-Makers' Cooperative (NY & ロンドン)、バルセロナ現代文化センター、アンソロジー・フィルム・アーカイヴで展示/上映された。1983年から1991年にはパートナーのピーター・クレイマーとともにABC No Rio (NY)のディレクションを行い、非営利アート部門 Allied Productions, Inc.を設立、コミュニティ・アートガーデンの「Le Petit Versailles」も開園した。2020年春には、初の音楽作品「Pestilence」がラ・ママ実験劇場で発表される。彼のビジュアルアート作品はVisual AIDSのウェブにあるアーティスト・レジストリーでも鑑賞できる。

Nguyen Tan Hoang I Remember Dancing

▶︎ 「アジア人ゲイ(gaysian)のアイデンティティ、HIV/AIDS、セーフ/非セーフセックス、親密性、欲望、危険、リスク、後悔、思慕についての、過去/現在/未来の記憶」を世代をこえたトランスやクィア/ゲイのアジア人たちが共有する。主に、ホアンの研究対象である、米国で表象の少ないアメリカに住むアジア人の声で、そこには記憶やファンタジーが溢れ、この作品には収まりきらない。 「おぼえている〜」(I remember)から話し始める形態は、アーティストのジョー・ブレイナード(1941-1994)の自伝からきている。さらに本作は、ホアンが1996年に制作したビデオ作品『Maybe Never (but I’m counting the days)』とも繋がりがある。『Maybe Never 〜』では、「I have never」(〜したことない)で始まる言葉で、エイズにより変わってしまった行動や経験などが後悔のようにあげられる。▶︎ ・映像にうつしだされたいくつか:I remember drinking wine and listening to Robert Flack in the screened-in porch. / I remember the physical pain of body and that strange phrase "the new normal." / I remember when I stopped seeing gaysians at house parties as competition. / I remember feeling more like a mascot than a man in gay bars. / I remember the N'Touch on Saturday night. /I remember my first gat Asian friend. / I remember the first time I fucked for a video.

グエン・タン・ホアン:ビデオ作家、メディア学者。これまでに短編実験ビデオ作品『K.I.P』、『Forever Bottom!』、『PIRATED!』、『look_im_azn』がある。著作に「A View from the Bottom: Asian American Masculinity and Sexual Representation」(Duke UP, 2014)、ポルノ教育学や東南アジアのクィアシネマについての記事がある。カリフォルニア大学サンディエゴ校で文学、映画、カルチュラル・スタディーズを教えている。

Day With(out) Art 2019の参加アーティストは公募をへて選出された。審査員は、ケニオン・ファロー(The Body誌 副編集長)、アレクサンドラ・ユハス(ブルックリン大学 映画学科学科長)、ルーカス・マイケル(Visual AIDS アーティスト+ メンバー&委員)、ローレン・ゼラヤ(ブルックリン・ミュージアム パブリックプログラム・ディレクター)。

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Visual AIDSの活動は現在も続く、エイズはまだ終わっていないから。
Visual AIDS(ヴィジュアル・エイズ)は、アートを通しエイズと戦い、会話を起こし、HIV+のアーティストの支援、そして過去の功績を保存するニューヨークの非営利団体。
1989年、Visual AIDSは初めてのDay Without Artを企画し、エイズ危機への反応として、喪にふくしたり何か行動をするようにアート界に呼びかけた。30年目のDay With(out) Artとなる今年は『STILL BEGINNING』を世界エイズデーでもある12月1日にホイットニー美術館を皮切りに100を超える世界中の美術館や大学などの施設で上映する。そして現在の危機的状況も訴えながらエイズに関して反応してきたアーティスト、アクティヴィスト、文化従事者の重要で必要不可欠な活動をみつめる。


日時:12月9日(月) 7:00 PM 開場|7:30 PM 開始
会場:戸塚地域センター 7階 新宿区高田馬場2丁目18番1号
資料代:500円
主催:ノーマルスクリーン特定非営利活動法人 ぷれいす東京Visual AIDS
協力:TOKYO AIDS WEEKS 2019
* TOKYO AIDS WEEKS 2019では他にも様々なイベントが行われます。詳しくはこちら:https://aidsweeks.tokyo/

追加上映
1/26 (日) 3 PM 〜 カフェ Ryusen112 (台東区竜泉1-1-2)

来場者の感想などhttps://twitter.com/i/events/1204213121394475008

(eye, virus) 画面下に流れるテキスト
NY Art Book Fair 2017で行われた トークイベントでの会話より: わたしはHIVネガティヴですが、今日ここに来たのは、説明を読んでこれがオープンなものだと思ったからです。自分はポジティブではないので、こういうところでは歓迎されないと昔はよく感じていました。傷ついたとかそういうのではないけど、皆さんにもこのことを聞いてもらった方がいいと思いました。 これまでのものは殆どがHIVポジティブに関するもので、あなたがそうなら参加できますよ、という雰囲気があったけど、ここはそういう感じがしなくていいと思います。このまま言っちゃいますが、だから今日は来ました。
いとこが死んだとき、わたしは11歳でした。そのときAIDSが何か、ゲイとは何かを知りました。 泣いて嘆く祖母からいろいろ感じとったのです。だからわたしは母に「AIDSってなに?」と聞きました。母は「神様がファガットにやるものだ」と言ったので「じゃ、ファガットって?」と聞くと「男の子同士が触りあうことだよ」と言われました。そのとき、わたしは11歳でした。 わたしは6歳の頃からセクシャルでした。だからそういうことは分かっていたけど... つまりこれまでの自分と今の自分... ずっと自分の行動には付いてくるものがあると言われてきたわけで、人生は大きく変わってしまいました。
これまでずっと、わたしは相手の病状のせいでセックスをしたくないと考えたことはありません。 自分はフィーリングをだいじにする方だから、相手がネガティブで嫌なやつより、わたしはポジティブで素敵な人とやる方がいい。運任せって思われるかもしれませんね。 でも14とか15歳で男とセックスをしていたときのことを覚えているのです... エイズ危機まっただ中のときで... 治療などの話もまだ出ていませんでした... 50代、60代、40代、30代とセックスしていて、わたしはティーンで、だからわたしのセックスライフの殆どは「いずれ自分は死ぬ、死ぬんだ、死んでしまうんだ」という考えに覆われていました。 だから、いくら医療が進歩していても、そういうことが頭から離れない。PrEPを始めようとしたとき... PrEPは自分の行動を変えなかった。今でもわたしは以前通り人と接します。相手のステータスの問題ではなくて、私の精神的な成長と関係があるのです。
さらに気づいたのは、これがPrEPだけのおかげではないということです。 長年におよぶセラピー(カウンセリング)が助けになっていますが、でもPrEPは、わたしがずっと生きてきた恐怖を取り除いてくれた... これはとても健康的なことだと私は感じます。さっき言ったような頭のなかでの計算を取り除いてくれたのです。自分がタチで中出ししたら自分がウケをするよりリスクが低いと医者は言う... でももうそういう計算をしたくないんです。 ◾️

過去のVisual AIDS企画によるビデオも公開中!

ALTERNATE ENDINGS (2014)

COMPULSIVE PRACTICE やめられない習慣 (2016)

知られざる結末、斬新な幕開け (2017)

知られざる結末、アクティヴィストの蜂起 (2018)