記憶、歴史、保存、
「歴史」という言葉は様々な角度からとらえることができます。これまでノーマルスクリーンで上映した作品すべてを「歴史」と紐づけることもできるし、学術的に深くとらえることもできるでしょう。日常の中の何気ない会話ですら、それを記録することで「歴史」になり得ます。この特集では、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの人々にとっての過去や記録/それらと向き合う表現を通して、記憶や歴史や保存について緩やかに考えていきます。
だれがどう残すかにより歴史は変化します。主流文化にないがしろにされてきた、または今もされている活動や生活にまつわる事柄を、LGBTQの人々はどのように歴史に刻んできたのか。どのように記憶を残そうとしたのか。記録がない物事をどのように想像してきたのか。それらはどのように「今」に影響をおよぼしているのか。
古今往来すべてを網羅することはできませんが、国内外のアーカイブ活動や、過去の記録と向き合う映像作品や人、記憶されているけど消えそうなものなど...。特に、あえて残そうとしなければ無視されてしまいそうなものを中心に、ロンドンのLGBTQアーカイブで発見された資料を元に脅迫を受けていたゲイカップルの緊張を再現する映画、さらにブルックリンやベルリンのアーカイブなどをいくつか紹介します。日本での出来事も振り返り、様々な角度からみつめることで、私たちの「存在」について考えていくためのきっかけがここで生まれたらと願っています。
企画:ノーマルスクリーン
チーム:秋田祥|山賀沙耶|間部百合
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京