Back to All Events

トランスミッションズ: Visual AIDS

ニューヨークを拠点に30年以上活動する非営利アート団体 Visual AIDS が毎年アーティストや活動団体に依頼し制作された新作映像作品集を発表する企画「Day With(out) Art」。 本年はアメリカ国外から集められた各地におけるHIVとAIDSの影響を考える6作品が発表されるのに併せ、日本でも字幕付きで特別公開!

各作品が扱うテーマは幅広く、南米でHIVと生きる女性の存在が消し去られ語られないことや、インドで欧米のパブリックヘルスの枠組みでは捉えきれない性のあり方を生きる人々の暮らしについて。また、ウガンダのHIVとともに生まれた若者たちがスティグマにさらされながら生きる姿や、ギリシャで2018年にリンチの末、殺されたクィアアクティヴィストでドラァグクィーンの生と、彼の死に対して立ち上がった人々の動き、などに向き合っています。

・右下【CC】クリックで日本語字幕を表示。日本語字幕:秋田祥&福島淳
・注:「トラニー」は侮蔑語ですが、作品にしたがってそのまま字幕にも含んでいます。

Online Talk Event

12月11日(金)の夜8時から、Zoomでみなさんとこの映像の感想などを話せる空間をつくります。
ゲストは劇団フライングステージの関根信一さん!
以下リンク先のフォームに必要事項を記入してぜひ参加してください!
参加登録:https://forms.gle/SLeeueg5BrDcXjeT6

関根信一さんは、1992年にゲイの劇団「劇団フライングステージ」を始動させ、劇作家、俳優としても活躍されています。11月に下北沢で上演された「Rights, Light ライツ ライト」では、HIVの感染を申告しなかったと告げられ内定が取り消された若い男性の実話とその裁判をベースにされていました。そんな関根さんにこれまでのご活動や日本でHIV/AIDSの影響を表現することなどについてお話をうかがいます。 その後には、皆さんと「トランスミッションズ」の感想を語る会を続けて行います。ぜひフォームから参加登録してください。後日詳細をお送りします〜

参加作家/グループ:

ホルヘ・ボルデロ Ministry of Health (メキシコ)
ザヴィ・ディムトラコポウロ, This is Right: Zak, Life and After (ギリシャ)
ラス・インデタクタウレス Me Cuido (チリ)
ルシア・エガニャ・ロハス Female Disappearance Syndrome (チリ/スペイン)
チャラン・シン They Called it Love, But Was it Love? (インド/イギリス)
ジョージ・スタンリー・ンサンバ Finding Purpose (ウガンダ)

作品 + 作家 紹介

Jorge Bordello, Ministry of Health
Ministry of Health(健康省/健康を司るもの)は、ホラー映画やサイレントフィルムのスタイルを用いて、メキシコの都市トラスカラに暮らすHIVと生きる四人の男性たちの身に起こる、薬剤の副作用を想起させる。
ホルヘ・ボルデーロ 
ドキュメントとフィクションの間、家族のアーカイブと国家の歴史の間、身体のイメージのモンタージュとパブリックな経験の間にある、複雑で微妙なひだのような部分に関心をもっている。モンテレイ工科大学(ITESM)で国際関係の学位を取得し、メキシコ国立自治大学(UNAM)で図書館学を学ぶ。国立写真図書館システム、メキシコシティのイメージ・センターにより選出され学び、文化開発と共同投資プログラム(FONCA 2011)、ヤングクリエイターズ助成金(FONCA 2016)、地方・コミュニティ文化のためのサポートプログラム(PACMyC 2015)に採用。その作品は、ULTRAcinema、FICUNAM、International Postporn Festival、Cinemaissí:ラテンアメリカフィルムフェスティバルなどの映画祭で上映されている。

Gevi Dimitrakopoulou, This is Right: Zak, Life and After
This is Right: Zak, Life and After は、2018年にアテネで公衆の目前でリンチを受け殺された著名なクィアのエイズアクティヴィスト、ザック・コストプロスについて描く。ザックのchosen family(自ら選んだ家族)とコミュニティによって強調されるのは、ザックのアクティヴィストとしての人生と、彼の殺害のショックから引き起こされる応答の行動だ。
ザヴィ・ディムトラコポウロ >
ギリシャのアテネを拠点とするフェミニストのビジュアルアーティストで映画監督。彼女の映画は主に、ジェンダー・アイデンティティや、セクシュアリティ、クィアネス、マイノリティの政治的不平等に焦点を当てている。メディア学者としてテクノロジーと文化について執筆・講演をおこない、著書もある。で、著作もある。 経済学、映画研究、デジタルメディアの学位を取得している。

Las Indetectables, Me Cuido
Me Cuido(私は自分の健康に気をつける/気遣う)は、植民地支配的な枠組みの健康概念、宗教的な罪の意識、HIVと生きる人々のスティグマ化の関係について、資本主義、そして新自由主義体制下のチリにおいて問いかける。
ラス・インデタクタウレス >
ソフィア・デベニールrとノエリア・シャラが率いるチリのバンド。 友人でコラボレーターであるマカレナ・ロドリゲスやオスヴァルド・グズマンとともに、HIV/AIDS、ヘイトクライム、セックスワーカーやトラベスチ* の経験、また、周縁化された人々が路上や公共交通機関で政治的介入を行うときに生じる矛盾、などのテーマに取り組んでいる。
*トラベスチ(travesti):南米諸国で女性装をはじめ女性的なジェンダー表現を身につけ生きる男性。差別の対象になってきた。

Lucia Egaña Rojas, Female Disappearance Syndrome
HIVやAIDSのジェンダー化され偏った表象に対して、リナ・メルアーネが「女性消失症候群」と名付けた、この感染症に関する話題におけるHIVと生きる女性の抹消について調査し、疑問を投げかける。
ルシア・エガニャ・ロハス >
現在バルセロナ在住のチリ人のアーティスト。その作品は、ハイカルチャーとローカルチャー、ハイテクとローファイ、パブリックな空間とプライベートな空間の関係、そしてグローバルな北と南の関係を問題にする。 チリでビジュアルアーツを学び、スペインでクリエイティブドキュメンタリーについて修士号を、ポスト・ポルノグラフィについて博士号を取得している。 現在は、バルセロナ現代美術館のインディペンデント・スタディーズ・プログラムで教鞭をとりながら、二つの研究プロジェクトを進行し、刺繡やビデオ、パフォーマンスを制作を行う。

Charan Singh, They Called it Love, But Was it Love?
They Called it Love, But Was it Love?  は、インドに暮らすコーティ(kothi)の生活を描く。パブリックヘルスのキャンペーンで「リスクグループ」と片付けられる、欧米のジェンダーやセクシュアリティの概念では正確に理解されていない主人公たち。彼らが生きる生活の実際、充足と愛を独自に追求し暮らすユニークな世界について。
チャラン・シン >
ニューデリーとロンドンに在住、活動している。その芸術実践はインドでのHIV/AIDSに関係する仕事やコミュニティ活動によって特徴づけられる。ロンドンのロイヤルカレッジオブアートの実践に基づく研究の博士号候補資格者。2016年、ポートレートシリーズ「Kothis、Hijras、Giriyas and Others」でマグナム/フォトロンドン賞を受賞し、このシリーズは2017年のPhotoworks Annualで取り上げられた。 2017年にはニューヨークのFire Island Artist Residencyでレジデントを務める。彼の最新の著書と展覧会(スニル・グプタとの共著)「Delhi: Communities of Belonging」は、2016年にThe New Pressから刊行され、2017年にニューヨークのsepiaEYEで展示された。その最新版である「Dissent and Desire」は、2018年にヒューストン現代美術館で、また2018〜19年にインドのコーチで開催されたコチ=ムジリス・ビエンナーレでも展示。

George Stanley Nsamba, Finding Purpose
Finding Purposeは、ウガンダでHIVと生きる10代の子どもたちについての映画の制作と、そのプロジェクトの周囲に充満していたスティグマについて振り返り考える。
ジョージ・スタンリー・ンサンバ >
映画作家、スポークンワードのアーティスト、人権活動家。2013年にソーシャリー・エンゲイジド(社会関与型の)映画制作を通して若者に助言し、教育するための「ゲットー・フィルム・プロジェクト」を設立。 彼の映画『Time Irreversible』(2017)、『The Dummy Team』(2016)、『Silent Depression』(2015)、『Crafts: The Value of Life』(2015)は、アフリカや米国の各地で上映されている。

Text & Caption translation/edit : Jun Fukushima, Sho Akita

更新履歴
・12/7:公開していた予告映像を削除し、本編映像を公開