ミャンマーで生きる あるトランスジェンダーのカップルのドキュメンタリー。
2017年にミャンマーで発表された短編ドキュメンタリーを期間限定配信。
現代のミャンマーで生きるトランス女性の語りを中心にし、彼女が恋をする相手のトランス男性の視点を交え熱いおもいが綴られる作品。二人はミャンマーでどのように生きてきたかを語り、それぞれが自分のなりたい姿のために情熱をそそぐ現在の様子がうかがえる。
監督:ニン・パ・パ・ソー|ミャンマー|2017|21 min
・配信期間:2021年10月26日〜11月15日
・チケット料金:0円〜600円
お支払いできる額を選んでください。
すべてノーマルスクリーンの活動継続のために活かされます!
・日本語字幕+英語字幕つき|日本からのみ観賞可能
・The video includes English subtitles. Streaming is available only in Japan.
監督のニン・パ・パ・ソーは、ミャンマー南東部モン州で育ったレズビアン。本作は、国内最大のLGBT団体Colors Rainbow (Equality Myanmar )の映画制作ワークショップで作られ、彼女の監督デビュー作として発表された。
2011年から、より民主的な社会の構築をすすめようとしていた(またはそのように振る舞っていた)ミャンマーだが、2016年の国民民主連盟(NLD)政権発足後も表現の規制は根強く残っていた。本作は、2017年のワッタン映画祭(ヤンゴン)で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞したが、国の検閲に映画の最後の言葉「愛にもいろんな性別があるのかな?(愛にも男とか女とかトムボーイとか女男とかあるのかな?)」の削除を求められ、ニン・パ・パ・ソーはそれを拒否し映画は上映されなかった/しなかった。「国の検閲に本当に腹が立ちました。検閲を求められたあの最後の言葉は、お笑い番組でよく使われる下品な言葉もふくんでいないのに。」
今年(2021年)2月にクーデターが起こり、緊張した状況が続くミャンマー。現在の映画関係者の状況は、イメージフォーラム・フェスティバル2021で行われたパネルディスカッションに登壇したワッタン映画祭プログラマーのタイディさんの話から少し知ることができる。
→ https://youtu.be/ZOcTvtJY8Ew (2021年9月26日)
他に、ワッタン映画際の10年にわたる活動や検閲について詳しく話されているページ:
居原田遥さん(東京芸術大学グローバルサポートセンター特任助手)によるタイディさんとトゥトゥシェンさん(ワッタン映画祭)インタビュー
→ https://tmop.geidai.ac.jp/conversation/conversation-02/ (2020年|TMOP / 東京芸術大学)
(以下、Visual Documentary Project 2020ブックレットより抜粋)
Hnin Pa Pa Soe
監督:ニン・パ・パ・ソー |1990年ミャンマー生まれ。彼女が自分のセクシュアリ ティを受け入れたのは12歳の時だったが、周囲に多くの困難や制約、差別があり、堂々とカミング・アウトすることができなかった。心理学部を卒業した後、人権や女性の権利、ジェンダーに基づく暴力など数多く のワークショップや研修会に参加し、様々な青年活動 やLGBTが主催する活動にもボランティアとして積極的に参加した。2016年には『シンプル・ラブストーリー』の撮影を開始し、2017年のワッタン映画祭で最優秀ドキュ メンタリー賞を獲得した。そのような賞を受賞したにもかかわらず、ラストシーンの台詞に問題があるということで、現地当局から上映許可が下りなかった。最優秀ドキュメンタリー賞の受賞と、彼女が検閲官の指示に従うのを拒否したことが世間の注目を集め、彼女はミャ ンマーのLGBTの権利の擁護者として一躍有名になった。
撮影班:
レー・レー・エー
レズビアンの映像作家で、カメラ ウーマンでもある。LGBT映画や女性の権利推進のための映画を何作か制作している。『シンプル・ラブストー リー』では音声録音を担当した。彼女は『My Mother is Single』(2014) や『Soulmates』 (2014)、『The Story Teller』(2015)、『Valley Flower』(2016) の 制作にも携わっている。
アウン・サン
カチン州出身で人権映画学校を卒業。家を出て、映画の仕事に対する情熱を追いかけ、ヤンゴンでフリーの撮影技師になるべく奮闘中。
監督に質問
このドキュメンタリーを制作した理由は?どのようないきさつからこのテーマに取り組むこととなりましたか?
私の作品はミャンマーの主流映画によく見られるLGBTの誤ったキャラクター設定に反論するものです。私は2017年のフィルム・ワークショップの研修生でした。当時、私は期間中にフィルム・プロジェクトを完了させなければなりませんでした。よい話はないかと探した末、二人のトランスジェンダーの友人のラブストーリーに基づくドキュメンタリー映画を監督することに決めました。二人の話がとてもユニークだったので映画化の機会を逃したくなかったのです。この物語はトランスジェ ンダー男性とトランスジェンダー女性のラブストーリーで、ジェ ンダー・アイデンティティの常識に挑んだ作品です。しかし、ビルマ社会はLGBTのコミュニティを受け入れられません。今も、LGBTQIA+の人々は差別の下で悪戦苦闘しています。それにもかかわらず、トランスジェンダーの男女の間の愛は、社会だけでなくLGBTQIA+のコミュニティからも受け入れられていないのです。私が指摘したいのは、愛にはジェンダーなど関係ないという事実です。
*本作は、日本では昨年末にVISUAL DOCUMENTARY PROJECT (VDP)で配信されました。
今年もVDPはオンライン配信で行われます。テーマは「死と生と」。詳細をチェック!
→ https://kyoto.cseas.kyoto-u.ac.jp/vdp/vdp2021/
主催:ノーマルスクリーン
助成:国際交流基金アジアセンター アジア・市民交流助成
協力:京都大学東南アジア地域研究研究所